本を読まざるをえない

やる気のないOLです。通勤中は本を読みます。

ザ・万遊記

私は万城目さんが好きだ。

 
鴨川ホルモーで一躍有名になったけど、どちらかというとそのあとの鹿男とか、プリンセス・トヨトミとか、偉大なるしゅららぼんとかの方が面白いと感じる。
鴨川ホルモーは、ぶっちゃけた話なかなかのカオスである。かなり前によんだからうろ覚えだけど、とりあえず鬼がいっぱい出て来てうおぁぁぁあってなる話だった。ちょっと森見さんがぶっ飛んだ雰囲気の。
に対し、その後の作品にはいい意味でのアホさを残しつつも、物語のうまさが光る。
カオスなルールに支配された壮大な世界の中で、驚きとドキドキに心踊るわけで、
ページをめくる手が止まらなくなるタイプの本である。
 
さて一方、私はエッセイというものがそこまで好きではない。
「自分の親戚の話さえ興味ないのに、なぜ人様の親戚についてのエッセイを読まなあかんのか」的なことを万城目氏もいっていたが、まさにその通りである。
いくら面白い作家さんだろうと、アイドルでもない限り私生活の話なんて聞いてもどうしようもないわけである。
 
では、万城目氏がエッセイを書くと?
これが面白い。
私が面白いと思ったエッセイは彼のものだけだ。
 
まずアホに包まれる。ニヤニヤしながら読むしかない。電車で読むのは要注意である。
ではなぜそんなに面白いのか? 万城目さんの小技が効いているからである。
エッセイなのに、一人称は「僕」とか「私」でなく「万太郎」。これだけで、なんか新しいキャラクターを自分の頭の中で設定できる。
各話は短いが、さらにその中を短文で構成することでテンポよく。
そして、万城目さんがであった面白体験をとりあえずおかしく綴る。
そんなきめ細かい気遣いによってこの本ができているのだ、と気づいた時、
憎たらしいというかしてやられたという気分になる。
けど、このお方やっぱりアホを貫き通して生きてるわ。アホ-センス-アホの層構造だ。というのが結論である。
 
一見ぶっとんでいるようだけど、ちゃんと話をたてるのがうまい。
それを再確認させられるエッセイ。