本を読まざるをえない

やる気のないOLです。通勤中は本を読みます。

Nのために/湊かなえ

湊かなえをとうとう読んだ」と母に言ったら、むしろ読んだことなかったの?と驚かれた。
そうですよね、今さら読みました。今まで避。湊かなえって、ドロドロしているイメージ。たぶん避けていた。

ついに手に取った湊かなえ作品、選ばれたのは「Nのために」。
ドラマ化したことも記憶にあり、あらすじを読んでも比較的ひかれるものがあったからである。


Nのために (双葉文庫)

Nのために (双葉文庫)

あらすじはと言うと、タワーマンションの一室で殺人事件が起きる。その部屋の住人である二人が殺され、そこに居合わせた4人のイニシャルNたち。それぞれの愛するNのために、それぞれが小さな嘘をつく。

いきなり殺人事件が起き、犯人が逮捕され、判決がくだる。これで一気に第1章が終わる。
そこから、それぞれのNの、ことの始まり、事件の当日が回想され、そして10年後(現在)が少しだけ描かれる。

まず思ったのは、うまい。
避けていたけれど、人気な作家さんだけあって書くのがうまい。先はなんだ?と気がはやるのだ。
また、各章ごとに人がかわって、今まで見えて来なかった場面が見えてくる、というのは恩田陸に通じるものがある(ただし、恩田陸の方が上手く、そして恐ろしい)。
とにかくページをめくるしかなくなる。続きが気になる。

ただ、疑問も少し残る。名前がNである必要はあるのか?題名から決めたのだろうか。
回収できていない謎もいくつかあった気がする。
もっと上手く、ミステリー要素というか、読者の度肝を抜けたのでは?

とはいえ、面白いことは面白いと感じた。
「告白」と比べると…、という声もちらほら聞こえる。私も続けて告白を読んでみたが、個人的には文章の書き方はこちらの方がすきです。巧妙さは書けるかもしれないけど、うーん文章で読ませる力がある。